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2004.12.29

E90 Tidal Waveは津波じゃない

インド洋大津波のニュースが連日トップニュースになっている。 Google Newsで検索してみたら津波のニュースで一杯だ。(左の図は津波の震源図 NOAA)

英語で津波のことを、そのままtsunamiと言っている。私が覚えている英語はtidal waveだが、気になったので調べてみた。

■英語のニュース

tsunamiと書いてから、どんなものか説明がある。例えば以下。

N.E. is not immune, scientists warn
December 28, 2004 boston.com

A tsunami is a series of extraordinarily large ocean waves caused by the sudden displacement of water by earthquakes or landslides on the ocean floor. Usually, the giant waves occur when earthquakes hit above magnitude 7 on the Richter scale, pushing walls of water outward from the epicenter with the speed of a jet plane. In the open, deep ocean, boaters probably wouldn't even notice if they are atop a tsunami. But as the giant wave hits coastal areas, the enormous energy underwater is transferred into the wave crashing on shore.

詳細な説明を掲載している所もあった。

Fury of the TSUNAMI December 28, 2004 ScienceWorld.com

What a TSUNAMI is...
A tsunami (pronounced TSOO-NAH-MEE) is a wave train, or series of waves, generated in a body of water by an impulsive disturbance that vertically displaces the water column. Earthquakes, landslides, volcanic eruptions, explosions, and even the impact of cosmic bodies, such as meteorites, can generate tsunamis. Tsunamis can savagely attack coastlines, causing devastating property damage and loss of life. A tsunami can also be called "seismic sea wave", because they're similar to seismic waves but travel through the ocean instead of through land.

What TSUNAMI means...
Tsunami is a Japanese word with the English translation, "harbour wave". Represented by two characters, the top character, "tsu", means harbour, while the bottom character, "nami", means "wave". In the past, the scientific community sometimes referred to tsunamis as "tidal waves". The term "tidal wave" is a misnomer; although a tsunami's impact upon a coastline is dependent upon the tidal level at the time a tsunami strikes, tsunamis are unrelated to the tides. Tides result from the imbalance, extraterrestrial, gravitational influences
of the moon, sun, and planets. The term "seismic sea wave" is also misleading. "Seismic" implies an earthquake-related generation mechanism, but a tsunami can also be caused by a nonseismic event, such as a landslide or meteorite impact.

■Tsunamiという用語の採択

色々探し回ってわかりやすいサイトをみつけた。時々お世話になっているNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration)のサイトのTop Storyで扱っている。いずれはなくなると思うが。。。1963年から世界的に使われるようになったことを初めて知った。

NOAA REACTS QUICKLY TO INDONESIAN TSUNAMI

A tsunami is a series of ocean waves generated by any rapid large-scale disturbance of the sea water. Most tsunamis are generated by earthquakes, but they may also be caused by volcanic eruptions, landslides, undersea slumps or meteor impacts.

In 1963 the term "tsunami" was adopted internationally to describe this natural phenomenon. A Japanese word, it is the combination of the characters tsu (harbor) and nami (wave). They are often mistakenly called “tidal waves.” However, the tides have nothing to do with the formation of tsunamis.

disturbance 【地】 擾乱(じようらん) 《軽度の地殻変動》;
slump 【地学】 スランプ: 完全に固結していない堆積物が, 海底の斜面をまとまってすべり下りること.

このサイトには、津波のアニメーション (Quick Time movie)があった。ニュースでも放映していたものだ。他に、津波の説明津波のものすごく詳細な説明、それからTsunamiReadyというつなみについての啓蒙サイトもあった。対策の説明が多く、定義の説明がさほど細かくないので、さらに定義を探しまわって、津波だけを扱っているサイトを見つけた。

Tsunami! (University of Washington)
ここのThe Physics of Tsunamiという所にわかりやすい定義があった。このサイトは幾つかの賞をとっている有名なサイトのようだ。定義は以下。前出のScienceWorldの説明の元はここだった。ここには、1923年に関東を襲った津波のシミュレーション動画もある。

Tsunami is a Japanese word with the English translation, "harbor wave." Represented by two characters, the top character, "tsu," means harbor, while the bottom character, "nami," means "wave." In the past, tsunamis were sometimes referred to as "tidal waves" by the general public, and as "seismic sea waves" by the scientific community. The term "tidal wave" is a misnomer; although a tsunami's impact upon a coastline is dependent upon the tidal level at the time a tsunami strikes, tsunamis are unrelated to the tides. Tides result from the imbalanced, extraterrestrial, gravitational influences of the moon, sun, and planets. The term "seismic sea wave" is also misleading. "Seismic" implies an earthquake-related generation mechanism, but a tsunami can also be caused by a nonseismic event, such as a landslide or meteorite impact.(「潮汐波」という用語は誤った名称だ。津波の海岸線への衝撃は津波が襲った時の汐の高さに依存しているが、津波は汐とは関連性が無い。汐は月、太陽、惑星による不均衡な、地球外からの重力の影響によりおこる。「地震性の海の波」も誤った名称だ。「地震性」は地震に関連した生成メカニズムを暗示するが、津波は地すべり或いは隕石のような非地震性事象によっても引き起こされる。)

tidal wave 《俗に》大津波; 《俗に》《台風などによる》高潮; 潮汐波(ちようせきは)
(tide wave);
misnomer 誤った[実体とかけ離れた]名称, 誤称; 呼び誤り; 人名[地名]誤記《特に
法律文書中の》.
seismic 地震の; 地震性の
meteorite 隕石

■津波の前に汐が引くのは俗説

さらに探してみたら、津波が来る前に水が引くのは俗説という説明を見つけた。 今回の大津波で汐が引いている映像を見て当然だと思っていたが、そうではない場合もあることを初めて知った。

ウィキペディア 津波
伝承
過去の津波による証言や昔話等の伝承に「水平線の彼方まで水が引き、その後に巨大な津波が襲来した」といった事実があるが、これは諸条件が合致して起きる例であり「津波の起こる前に海面が引く」とするのは俗説である。海岸に押し波が先に来るか、引き波が先に来るかは、震源直上の海底がどちらに動いたかによって決まり、どちらの波になるかの予測は難しい。津波は震源直上の海底地形が隆起した直上で発生することから、隆起と沈降のうち海上の震源地に対して陸地寄りの位置で隆起が起きるといわゆる高波としての押し波(上げ潮)が先に襲来し、震源地を境に陸地寄りで沈降が起きて沖合い側で隆起があった場合は引き波(引き潮)が先に起きる。

■ここで脱線 - megatsunamiの場合はどうしようもないかも

別のニュースで、隕石が2029年4月13日(の金曜日)に地球に衝突するかもしれないというのがあった。もし海に落ちたらものすごい津波が起こるそうだ。

THE SCOTSMAN
Friday 13th, 2029 may be unlucky for the Earth

Key points
・Quarter-mile wide asteroid may hit the Earth in 2029
・Impact probability currently at one in forty five according to astronomers
・Threat, at level four on astronomical measure, never before been raised

Key quote
"In the unlikely event that it did hit, it would be quite serious. We’re talking either a tsunami if it hit in the ocean, which would be likely, or significant ground damage" - Dr Donald Yeomans, NASA Near Earth Object Program manager

NZCity
Asteroid may be on collision course
Reports recently discovered asteroid may hit Earth in 25 years from now could be reasonably accurate

NZCity 26 December 2004
Reports that the asteroid known as 2004MN4 has a one in three hundred chance of hitting Earth in 25 years may be reasonably accurate. The asteroid was discovered in June and is estimated to be 1,300 feet long. NASA scientist Donald Yeomans in Pasadena, California says he cannot rule out the possibility the asteroid may hit Earth on Friday April 13, 2029. He says it would be likely to create a quite serious tsunami if it came down in the ocean, or significant damage if it impacted on land.

その場合はDeep Impactのような高さが100メートル以上のMegatsunamiがおこるんだろうな。。。

1964年の新潟地震(M7.5)の時は、中学生で新潟市内の海岸の近くに住んでいた。地震の後で津波がくるとの話が伝わってきて、面白そうなので見に行こうとしたら、母親に強く止められたので行かなかった。後で聞いた所によると50cm程度の津波が来たそうだ。

今回の津波でも、波が押し寄せてきたとき、初めは比較的ゆっくり歩いている人を見たが、津波と避難についての啓蒙が世界的に必要だと思った。でも、隕石落下の場合はどうしようもないかもしれない。。。それまで生きていたらよぼよぼで逃げられない。

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コメント

こんにちはFreeman-san
私今アメリカインディアナの地で駐在員として
3年目が過ぎました。TVを見ていて、TVキャスターが全員“Tsunami”を使うので奇異に思っていたところです。回りの米人に聞いても、Tsunamiを理解していました。おいおいTidalWaveじゃないのか、中学のときにそう習ったぞ!と思いましたが、おかげさまで正しく理解できました ありがとうございます

投稿: yamane toshiyuki | 2005.01.05 03:53

こんにちは!
コメントありがとうございます。あまりコメントを貰ったことがないのですごく嬉しいです。お役に立てて幸いです。時間がたっぷりあるので興味のアンテナにひっかかったことをとことん調べて楽しんでいます。またお越し下さい。

投稿: のんびり自由人 | 2005.01.05 23:05

Tsunamiについてのご調査、大変興味深く拝見しました。「時間がたっぷりある」ということは、定年退職されたということでしょうか。私は70歳、定年まで秒読み状態。英語の語法に興味があり、いろいろ調べています。よかったら、メールいただけますか。
なお、OEDによると、初出が1897となっていますが、ラフカディオハーンが使ったようです。
これはくだらぬ余談ですが、時事通信のサイトで「...TIDAL WAVEは語表記...」とありました。誤表記の話で誤表記をしたのは面白い。

投稿: Itasan | 2005.01.06 09:16

Nagano様

ラフガディオハーンのことを教えていただいて有難うございます。

早速調べて、原文の英語、それが短くまとめられて戦前の小学校の教科書に載ったもの、その英訳までネットで色々読みふけってしまいました。外国では今でも小学校の授業で使われているようですね。

これについては後ほどまとめてブログに掲載したいと思っています。防災というよりも私財をなげうって人々を助けたことにポイントが置かれていますが、津波のことは同時に学習できているだろうと思っています。

またお越し下さい。

投稿: のんびり自由人 | 2005.01.07 16:11

はじめまして。

私も先日、自分の blog に津波のことを書いたのですが ( http://d.hatena.ne.jp/azzu_ks/20050103 )、今日たまたまこちらのサイトに、はるかに詳細な情報があるのを見つけて感動いたしました。

1963 年に "adopted internationally" というのは、どこかの国際機関が採用したということなのか、それとも有力なマスメディアが使うようになって広まったのか、その辺の細かいことも少し気になります。

まだ少ししか拝見しておりませんが、「英語雑感」にはさまざまな興味深いお話がありますね。早速ブックマークに登録させていただきました。時々来て勉強させていただきたく思います。ありがとうございます。

投稿: azzu_ks | 2005.01.10 22:54

azz_kz様

訪問ありがとうございます。

E91にちょっと書きましたが、tsunamiという言葉は、「1968年に米国の海洋学者Van Dornがtsunamiを正式な学術英語とすることを提案し」(国立歴史民俗博物館 津波の比較史料学)た所までは探し出したんですが。。。
http://www.rekihaku.ac.jp/kenkyuu/katudoh/no2/tsuji.html

この国際会議については、津波関連の検索でひっかかるのは皆an international scientific conferenceという言い方で、正式名称を出している所が見つかりません。

Van Dornという名前で探したら、Council on Coastal Engineeringの会議で1964年に発表しているので、この会議での採択かもしれませんが、議事内容が見付からないので実際どのように採択されたのか不明です。
http://web.archive.org/web/20040208150223/ (つなげて)http://drgeorgepc.com/Tsunami1964SourceMech.html

産経新聞によれば、1946年のアラスカの地震の時に津波があり、その後、米国がハワイに「太平洋津波警報センター」設立とのこと。
http://www.sankei.co.jp/news/041231/kok015.htm

このThe Pacific Tsunami Warning Centerは1949年設立なので、このセンター設立からtsunamiという言葉が一般的に広まったと考える方がいいかもしれないと思っています。
http://www.prh.noaa.gov/ptwc/

翻訳は私も以前社内翻訳をやっていました。ずっと座りっぱなしは体によくありませんよね。適度な運動は必要だと思います。私は今は散歩してますが。

またお寄り下さい。

投稿: のんびり自由人 | 2005.01.12 01:04

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